「あの国の料理はまずい」と言われるとき、大抵の場合は現地の味付けが旅行者に合わないだけという場合があります。ロシアや北欧など、外食産業が発展していないので、旅行者が美味しい料理にありつけていない国もあります。
しかしイギリス料理の場合は、イギリス人自身が「まずい」と話のネタにし、フィリップ殿下(エリザベス女王の夫)も「イギリスの女性は料理ができない」と発言したこともあります。もはや『イギリス料理はまずい』と言うネタとなっている位です。
実際は、手の混んだ伝統料理が少ないだけで、イギリス現地には多国籍レストランがあり、わたしも記憶に残るくらい美味しいローストビーフのレストランや、イタリアで何度か食べたパスタよりも断然美味しかったイタリア料理のお店がイギリスにありました。滅多に言葉にしない私が、一口目で美味しい!と言った事があるほど、日本のレストラン以上に美味しかった経験もあります。
では、なぜイギリス料理は不味いと言われているのでしょうか?
なぜイギリス料理は美味しくないと言われるの?
諸説ありますが、いくつか見ていきましょう。
宗教的な理由
イギリスはイングランド国教会という独自のキリスト教ですが、文化的にはプロテスタント寄りです。
プロテスタントの国・・・オランダ、ドイツ、アメリカなど
カトリックの国・・・フランス、イタリア、スペインなど
このように、料理が美味しい国とまずい国でキレイに分かれます(ドイツは美味しいイメージですが、食材の種類が少ないので美味しいのは最初の1週間だけ、なども言われております)。
地中海に面しないアルプス以北の国々は、河川が少なく土地が痩せているので、まずい野菜に腐りかけた魚や肉を工夫して食べていました。文化の発展とともに食文化をはぐくみますが、質素を美徳とするプロテスタントは料理にも質素さを求めたといいます。オランダ人は、1週間ジャガイモだけを食べても気にしないとまで言われています。
プロテスタントの文化圏にあるイギリスも、同じく美味しい料理よりも質素なものを好んだというわけです。
ジェントリー階級の教義
宗教的理由に関連しますが、ピューリタン革命以降の新興貴族の誕生やジェントリー階級の登場は、彼らが新しい支配者層であることを国民に知らしめる必要がありました。
彼らが身をもって示したことに中に「暴飲暴食は貧しい者の行為で、ジェントルマンは質素を美徳にする」という信念がありました。また「美食に溺れるのは醜いこと」というのもあり、質素な食事こそが素晴らしいとしたわけです。
※この場合のジェントリーの人々=不労所得で暮らし、郊外に住んでいます。
イギリスの身分社会
下流階級の家の子供は、中流以上の家庭にお手伝いさんとして住み込みで働いておりました。彼らは働く家で料理を学びますが、まだ子供と言える年齢の彼らには、大人向けの本格的な料理の味は理解できませんでした。さらにお手伝いさんに任せっきりになったことで、お袋の味の継承も途絶えたといいます。
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フランスが嫌い
元々は、イギリスの貴族はフランスの料理人を雇うのがステータスでしたが、ナポレオンの台頭やイギリスの国力のアップなど様々な要因で、フランスとは敵対関係になりました。これによりフランス料理や風習を嫌うようになり、フランス流の美味しい料理を楽しくワイワイ食べる行為も避けるようになったと言われております。
産業革命による食生活の変化
18世紀から始まった産業革命は、労働者を都市部の工場に集めました。そのため農業や酪農は減少し輸入に頼ることになります。それまでは、労働者は昼ご飯を家で食べていましたが、工場勤務になると工場で食べるようになりました。家で食事を作って食べる文化から、食事を買って食べる文化に移行します。
この時、労働者に好まれたのが安くて腹一杯になるフィッシュ&チップスであり、少ない量で栄養価が高いウナギのゼリー寄せでした。過酷な労働環境下では美味しいことよりも、お腹一杯になることや栄養がとれることが重視されたのです。
やせ我慢の文化
スーツの文化と同様に、イギリスの紳士は上流階級であることを保持するために、やせ我慢をします。特に貴族の下に属するジェントリー層は顕著で、貴族がこれをしていると聞けば真似をしていました。食事もその一つで、上流階級の真似をして食べるという行為が重要で、味にはこだわらなかったと言われております。
料理が不味いのにスイーツが充実しているわけ
イギリスのスイーツが美味しいのは、宗教的な理由で質素な食事を重んじた反動だと思われます。ティータイムにたっぷり時間を使い、美味しいお茶とスイーツを食べることで食の満足を得ていたのでしょうね。イギリス人がティータイムにうるさいのも、美味しいものを味わえる唯一の時間だからと言う理由もあるのかもしれません。
イギリスの料理が美味しくないというのは、ブラックジョーク?
イギリス料理が不味いと言われるのは、さまざまな理由があり、イギリス人が独特のブラックユーモアで、自分たちの料理のまずさをジョークにしているため、広がったのでしょう。
今や世界的にまずい料理の代名詞になっていますが、日本料理と比較すると海外の料理は質が落ちると言われているその中で、イギリスが特に不味いと思った事は個人的には一度もありません。
先に記載したで通り、美味しいレストランがたくさんあり、その中で日本以上にインスタ映えする様な外装・内装のお店も数しれずあります。
美味しいイギリス料理もあるのも事実です。日本にも美味しいイギリス料理のお店があります。もちろん現地でも、ぜひ試して見てくださいね!
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